一人の時間を大切にしながら、必要なときはすぐ助けを呼べる――この「距離感」を整えるには、声かけの決め方と呼び出しボタンの置き方・使い方を最初に話し合い、家族・職員・入居者で同じ理解にしておくことが肝心です。
本記事では、無理なく続けやすい頻度の目安と、居室内での設置・運用のコツをまとめました。
要点
- 声かけは「定時+必要時」が基本。定時は朝・夕など1~2回から開始し、体調や希望で増減する。
- 呼び出しボタンは「手の届く3点」(ベッド脇/トイレ内/居室出入口付近)に。夜間は枕元に置ける携帯型も有効。
- 合図と手順を共通言語化:「短押し=通常、長押し=至急」など押し方と目安時間を決め、カードに明記する。
- プライバシー保護:入室前のノック、訪室時間帯、室内カメラは原則設置しない(設置時は本人の明確な同意と使用範囲の書面化)。
声かけの頻度(始め方と見直しのしかた)
- 初期の目安:朝(8~10時)と夕(17~19時)の1~2回。就寝前の短い一言確認を追加する場合もある。
- 増減の判断:服薬・体調変化・夏冬の体調不良時は一時的に増やし、安定したらもとに戻す。
- 話題の上手な選び方:非常連絡先・通院予定・伝言の有無など、生活情報のみを簡潔に。私的な詮索は避ける。
呼び出しボタンの設置(置き場所と固定のコツ)
- ベッド脇:利き手側・寝返りの邪魔にならない位置。落下防止に面ファスナーやトレーを使用。
- トイレ内:座位から腕を伸ばして届く高さ(およそ床から70~110cm目安)。紙巻器や手すりに干渉しない位置に。
- 出入口付近:転倒時でも壁づたいに届く位置。廊下側の足元灯とセットで。
- 携帯型:ナースコール相当の携帯端末・ペンダントは入浴・就寝時の携行ルールを決める(濡れ・落下に注意)。
押し方・連絡手順を「見える化」する
- 押し方:短押し=通常連絡/長押し(2~3秒)=至急など施設の仕様に合わせて統一。
- 応答の目安:通常は5~10分以内/至急は直行など、時間の目安をカードに記載。
- 不在時の次の一手:応答がない時の代替番号(管理窓口・夜間当直)や119番の条件を明記。
夜間・入浴・外出時の注意点
- 夜間:枕元に携帯型を置き、足元灯を併用。睡眠を妨げない明るさに設定。
- 入浴:浴室内は濡れで誤作動・落下しやすい。入浴前後の短い声かけ+浴室外のボタンとセットで運用。
- 外出:外出中の呼び出しは誤報の原因。外出の合図(カード表裏・玄関マグネット等)を事前に決める。
プライバシーを守る運用ルール
- 入室の作法:ノック→名乗る→返答を待つを徹底。返答がない場合の入室条件を共有。
- 記録の取り扱い:連絡記録や健康情報は必要最小限を、鍵付き保管や権限管理で扱う。
- 機器のカメラ・録音機能:原則オフ。使用が必要な場合は、本人の明確な同意と目的・保存期間の書面化を行う。
家族・職員・入居者で共有する「小さな台帳」
- 緊急連絡先:家族・かかりつけ医・管理窓口・夜間当直の番号。
- 服薬・持病の注意:服薬時間、めまい・低血糖などの既往がある場合の留意点。
- 合図表:「短押し=通常、長押し=至急」などの共通ルールを1枚に。
今日から使えるチェックリスト
- 声かけは朝・夕の1~2回から開始し、体調で見直す段取りにした。
- 呼び出しボタンをベッド脇/トイレ内/出入口の3点に配置した。
- 押し方・応答時間・代替連絡先をカード化して見える場所に貼った。
- 入室時のノックと名乗り、記録の最小化・保管方法を共有した。
- 夜間の足元灯と、枕元の携帯型ボタンの置き場所を決めた。
参考情報・リンク/免責事項
【緊急時の連絡・通報の基本】
・総務省 消防庁(119番通報・防災情報)
【個人情報とプライバシーの配慮】
・個人情報保護委員会(個人情報の基本)
免責事項:本稿は一般的な運用の目安です。呼び出し設備の仕様・応答時間・記録方法・カメラ利用可否などの細則は、施設ごとの規程・契約・機器マニュアルに従ってください。
各施設の具体的な運用は本記事では確認できていません。
不明点は書面と現地でご確認ください。
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